死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?363
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1627548828/
698 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:31:32.08 ID:bEES4k540.net
女の幽霊?に車で天国へ誘拐されかけた話。
当時、小4だった俺の住んでいた町はかなりの田舎で、学校に行くには山を超える為の30m程度の距離のトンネルを通る必要があった。そのトンネルがどうにも不気味で、入り口の看板は錆びてるし照明は薄暗いしで怖かったけど、近所に同級生がいなかった俺は一人でトンネル通って帰らなきゃいけなかった。だから俺はバカデカい声で歌い紛らわしながらダッシュで抜けたり、それでも怖いなって思ったら通行車を待って来た瞬間に車と一緒に頑張って並走して抜けたりしていた。
699 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:32:08.40 ID:bEES4k540.net
そんなある日のこと。その日は学校に居残りで下校時間が5時を過ぎてしまっていた。しかも12月。外は既に薄暗く、俺はあのトンネルを思い出して帰るのが憂鬱になっていた。学校の先生に正直に言ってママに迎えに来てもらうことも考えたが、プライドが許さず俺は一人で頑張って帰ることを決意した。
700 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:32:45.19 ID:bEES4k540.net
いつもはなんでもない道でさえ不気味に感じたが、バカデカい声で当時マイブームだった「ジョーズ」を歌い紛らわしながらなんとか乗り越えた。でも、その勢いはあのトンネルの前で止まってしまう。いつにも増して際立つ照明、不気味に鳴る風の音、よく分からない動物の鳴き声。トンネルに入りたくない、でも家に帰らなきゃ。そのジレンマに俺は混乱し、トンネルの前で立ち止まってしまった。
701 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:34:18.40 ID:bEES4k540.net
2分くらい経った頃だろうか、車のエンジン音が近づいて来て俺は我に帰った。しばらくして背後からの光を感じ安堵すると同時に、車と並走してトンネルを抜ける為に助走を付けようとしたその時「君、大丈夫?」
驚いて後ろを振り返ると、車の窓から人が乗り出していた。ヘッドライトの逆光で顔は見えなかったが、声ですぐに女性だと分かった。
「車、乗る?家まで送るよ」
続けて女性が言う。学校で"知らない人の車には乗るな"と耳にタコが出来るほど言われていたが、とにかく今の状況から脱したかった俺は冷静に考えることもなく
「は、はい!」
と答えてしまった。今思い返せば、住所どころか名前すら知らないはずなのにいきなり家に送ってくれるなんて、冷静に考えればすぐにおかしいと分かるのに。俺は女の車に喜んで乗り込んだ。
702 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:35:26.32 ID:bEES4k540.net
匂いは少しキツかったが、精神的に疲れていた俺にとって車内はとても居心地良く感じた。車が発進したところで、俺は女に
「このまま道なりに行けば家があります」
と伝えたが、なぜか女は黙ったままだった。不思議に思って少し考えた途端、ここでようやく今の状況の異常さに気がついた俺は、体中に冷や汗を感じながら
「やっぱり降ります!」
と女に叫ぶように言った。
703 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:36:11.23 ID:bEES4k540.net
すると女は俺に返答するように
「アイアイアイアイアイアイアイアイアイアイ!」
と裏声に近い甲高い声を上げながら、自転車程度の速度で走っていた車のスピードを急速に上げた。とにかく逃げなきゃ死ぬと、本能から感じた俺は今までに感じたことのない恐怖でおかしくなりそうな体を無理矢理動かし、時速50kmを超えるであろう車のドアを急いで開けて躊躇することなく身を投げた。全身に激痛を感じながらも車の方に視線をやると、車は女の声を響かせながらそのままガードレールを突き破り山から落ちていったのが見えたのと同時に、俺は意識を失った。
704 :
本当にあった怖い名無し:2021/09/01(水) 20:36:42.98 ID:bEES4k540.net
次に目が覚めたのは病院でした。後から聞いた話によれば、俺が路上で倒れていたのを見た通行車が轢き逃げ事件だと思って通報してくれたそうです。ひどく骨折していたので、しばらく学校には通えず入院していましたが、その間に家族がもっと安全に通学できるように引っ越しをしてくれたので、あの不気味なトンネル近くを通るのはこの事件が最後になりました。
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