ほんのりと怖い話スレ その103
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1403514213/
727 :
本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/09(土) 18:15:27.04 ID:NfGQ1HV80.net
俺にとっては割りと切実に怖い話。
母方の爺さんは俺が生まれる前、母親が成人する前に病気で他界してる。
俺は三人兄弟の真ん中なんだけど、どういうわけか俺だけ親にはあまり似ず子供の頃からその母方の爺さんに
似てるといわれていた。お陰で盆正月に母方の親戚をまわるときにはちょっとしたアイドル状態だった。
子供の頃はまあそれでよかった。
そのうち父の転勤などもあって母方の親戚とも会うことも減り、高二のときに母方の婆さんが死んで葬式に行ったのを
最後に、十数年俺が母の故郷に行く事は無かった。
んで先月の事なんだけど、母から電話がかかってきた。
母「Aおじさん(母方の祖父の異母兄)の法事が○日にあるんだけどね
俺「ふーん
母「今お父さん腰悪くしててお母さんちょっと行けなくなっちゃったの。あんた代わりに出てくれない?
俺「そういうのは兄貴の方がいいんじゃない?
母「お兄ちゃんは出張なんだって。あとあんたはあっちの人(母方の親戚)の人気者だったじゃない。
何だかんだと言いくるめられ、十数年ぶりに母の故郷に行く事になった。
あの時弟に押し付けておけばよかったとちょっと後悔してる。
728 :
本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/09(土) 18:16:14.32 ID:NfGQ1HV80.net
つづき
他県に嫁いだ叔母(母の妹で年に数回は顔を合わせる)と途中で合流して行ったので道に迷うこともなかったが、
着いてからがひと騒動だった。
俺と叔母が着いた途端、既に集まってダベってた爺婆の半分くらいが俺の顔を見て固まった。
「◎◎!?」「◎◎さんか?」
俺の爺さんの名前が爺婆の口から搾り出すように漏れだす。
数人の婆さんが数珠を握り締めて死にそうな顔で念仏唱え始めた。
後で聞いた話だが、俺が母の代理で来ることを知ってたのはAおじさんの息子とその嫁だけで、大半はガチで爺さんが
化けて出てきたと思ったらしい。
異様な空気を察して叔母が「○君(俺の名前)よ?大きくなったでしょ?父さんそっくりになって」と半笑いで
フォローするも、爺婆は固まったままああとかううとかいう生返事をするだけ。
別室で法事の準備をしていたAおじさんの息子が飛んできて俺が母の代理できた事を説明して何とか場はおさまり、
法事自体は滞りなく終わった。問題はその後だった。
Bおじさん(Aおじさんの弟、祖父の異母兄)とそこの息子に捕まって、Bおじさんの家に半ば強引に連行された。
そんで古いアルバム引っ張り出してきて爺さんの写真を見せられた。
爺さんの写真は実家にもあるし子供の頃何度も見た事はあるが、大人になってからまじまじと見たのはこの時が
初めてだったと思う。
ともかく、白黒のすげーレトロな写真の中に、俺がいた。
どこをどう見ても今の俺自身にしか見えない。
その写真の中の男が俺ではないことを示す要素が、その写真が取られた年代以外どこを探しても無くて、まるで
自分の知らないところで盗撮された写真を見ているかのような気分に襲われた。
729 :
本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/09(土) 18:17:21.26 ID:NfGQ1HV80.net
つづき
Bおじさん(息子の通訳付き)の話によると、俺の曾祖母(祖父の母親)は曽祖父の後妻で、前妻の息子達、特に
総領息子のAとはあまり仲が良くなかったらしい。
その曾祖母もそのうち他界し、家に居づらくなった祖父は早くに独立し実家からの援助も断ってがむしゃらに
働いてたが、その所為で身体を悪くして結果俺の母や叔母が成人する前に死んでしまった。
Aおじさんは責任を感じてかその後祖母を経済的にバックアップし、母や叔母の嫁入り道具の金まで出してくれた
んだそうだ。
俺が生まれて祖父に似てるといわれだしたときは、ああうちの血がこいつにも流れてるんだくらいにしか思って
いなかったんだと。
んで十数年ぶりに会ったら生き写しレベルに進化してたから、親戚一同おったまげたらしい。
Bおじさんをはじめとする前妻側の親類は若くして死んだ祖父に対して何かしらの引け目を持っていたので、
何かいいたい事があって爺さんが俺をここへよこしたんじゃないかって話になったそうだ。
B「お前の爺さんが夢枕に立ったりとか、そういうことは無かったか?
俺「いやないですけど。むしろAおじさんが婆ちゃん助けてくれてたんなら感謝こそすれ恨むとか
B息子「□(俺の親父)さんが腰悪くして○(俺)君が代わりに来たって、まさか・・・
俺「いやだからたまたまですって
ちなみに親父の腰痛は持病なので母が付きっ切りで面倒を見る事は別に珍しくもなんともない。
話の流れ的に爺さんが化けて出てきたことにしたいのかよ、あんたらは爺さんが化けて出るような事したのかよ、と
多少腹が立ったりもしたが、80過ぎの爺相手にムキになるわけにもいかず適当にはいはいと聞いておいた。
また遊びに来いという言葉を背に、俺は二度と来るまいと決意してBおじさん宅を辞した。
730 :
本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/09(土) 18:18:17.82 ID:NfGQ1HV80.net
さいご
報告がてら実家に戻った俺から事情を聴いた母は、ひとしきり爆笑した後、爺婆が心臓麻痺おこさなくてよかったと
若干真顔に戻ってつぶやいた。
母「毎日顔見てたときはそうでもなかったけど、あんたが一人暮らししはじめてからはたまに顔合わせるたび、
母さんもはっとする事はあったよ。どんどん爺ちゃんに似てくるからさ。
母「まあ例え爺ちゃんが夢枕に立ったとしても、あんたどうせ気付かないで寝てるでしょ。爺ちゃんがどうしても
言いたい事あったなら、とっくに諦めて私か△ちゃん(叔母)のところに来てるよ。
冗談めかしてはいたものの、俺の内心を見透かしたかのように母はそういった。
Bおじさん達の言葉を真に受けるつもりは無くても、あんな事情を聞かされてしまうとどうしても色々と考えてしまう。
親父の腰痛だけじゃなく兄貴が出張じゃなかったら俺が行く事になってなかったのに、等々。
母「それにしてもこうやって見比べると本当そっくりになったわねー
母はいつの間にか祖父母の結婚式の写真を持ち出して、俺と交互に見比べている。
主に、俺の生え際と、交互に。
AおじさんもBおじさんも、その息子達も、逃れられなかった一族の男の運命。
特に爺さんは苦労人だった所為か、婆さんと結婚する頃には既に予兆が現れ始めていた。
何もそんなところまで生き写しにすることないだろ、爺ちゃん。
- 関連記事
-